おたくるナンセンス

無意味なる思想・幻想・幻覚の類

【ユメステ】すいません。ブラックフライデーで烏森大黒売ってませんか!?

烏森大黒(913アルゼンチンペソ)

 時は2023年の初冬。「11月はなんでもないけど酒が飲めるぞ」と古事記にも書かれていないほど11月とは何もない季節である。そんな11月の楽しみといえばAmazonブラックフライデーしかなく、それ以外は京都とかいう素晴らしい歴史を重ねてはる街で謎の変な祭りがある程度だ。

 さあ、Amazonブラックフライデーが始まる。おれはおもむろに下半身を露出した。

 「すいません。ブラックフライデーで烏森大黒売ってませんか!?」

 応えがない。もう一度おれは叫んだ。

 「すいません。ブラックフライデーで烏森大黒売ってませんか!?」

 すると向こうから「あははぁ♡」というキッショい声がした。筆島しぐれだ。この女はケツのデカさだけでEdenとかいう変な劇団のトップ役者にのし上がった変なやつだ。それも「○学生にしてはデカい」とかいうしょーもないプレミア性を武器にしており、後はジュゴン様には噛まれ猫足蕾には毎日大凶だ!と言われあとGoogleで検索すると真っ先に「筆島しぐれ 嫌い」と出てくるマジでいいとこのないクソガキだ。

この通り跳び箱もヘタクソ

 「おにーさん、なんでそんなもの求めてるんですかあ?ほんとはしぐれが欲しいくせに?」

 とうとうこの女俺にすら媚びるようになったか。フッ哀れな奴め、しかしこの俺は違うんだよ。

 「すいません。ブラックフライデーで烏森大黒売ってませんか!?」

 

 

 とうとう俺は投獄された。あのクソガキの前でずっと陰茎を屹立させていたことが処分の原因らしい。俺はパトカーの中でも「すいません。ブラックフライデーで烏森大黒売ってませんか!?」と叫び続けていたのでついでに精神鑑定された。精神鑑定の結果、連尺野初魅の死刑が確定した。お疲れ様でした。

 

 そして始まった牢獄生活。しかし俺のやることは変わらない。

 「すいません。ブラックフライデーで烏森大黒売ってませんか!?」

 「すいません。ブラックフライデーで烏森大黒売ってませんか!?」

 「すいません。ブラックフライデーで烏森大黒売ってませんか!?」

 叫び続ける日々。他の囚人に「うるさいよ」と言われても俺の探求は続く。追い続けることを忘れたのなら去ればいい全て投げだしてもいいじゃないのUsed to be諦めるのはeasyそれが俺の信条であるからには。

 ひたすら叫び続けること、7日―――ついに奇跡が起きた。

 「すいません。ブラックフライデーで烏森大黒売ってませんか!?」

 もうそろそろブラックフライデーが終わる。その焦りからその日は2秒に1000回そのフレーズを捻り出していた。そしてついに、奇跡が起きる!!

 「お前が落としたのは金の大黒か?それとも、銀の大黒か?」

 「れ、連尺野初魅!?性犯罪で死刑になったはずでは……????」

連尺野初魅を、現世に。

 死者蘇生。演劇界における禁忌中の禁忌だ。それに比べれば今まで連尺野が働いてきた小学生のケツを触る、中学生を夜の公園に呼び出して××、離島の無垢な女子を物理的に食うなどといった数々の悪行はかわいいものだった。こうしてこの演劇界の巨悪・連尺野初魅は山吹シャモから「演劇界の神」の座を簒奪し、千のジュゴンを従え、万の筆島しぐれのケツを触ることができるのである。

世界一上がりたくない階段

 「さあ選べ。お前が落としたのは金の大黒か?それとも銀の大黒なのか?」

 俺の眼の前にあったのはキンピカの光を放ち俺を高次元に押し上げんとする金の大黒と、その横でギンギラギンにさりげなく輝く銀の大黒だった。とにかく、まぶしかった。村一番のハゲで有名だった親父の頭よりもだ。それこそ大黒はこんなまぶしさを演劇に見出して、私の目の前で救世主気取りの大罪人にホイホイとついて行ったのだろう。

 「涙が、出てきたなあ」

 おれはついに、「すいません。ブラックフライデーで烏森大黒売ってませんか!?」以外の言葉を発話した。1週間ぶりのことだった。同世代のライバルに隠し切れぬ嫉妬の念を持ちながらも、ワールドダイスターを目指す彼女の、未来を思ってのことだった。

 「返事が聞こえないな。お前はどっちの大黒を選ぶんだ?」

 私の選択はただ、黙って祈ることだった。彼女の行く先を。そして、彼女を操る巨悪が斃れることを。そして心の中でおれは叫んだ。このおれの目の前にいる二人の大黒は、烏森大黒、お前がなりたかった舞台上の輝きじゃない!!

 

 

 

 「正解よ。私のことが、よく分かったわね」

 

 

 

 「お、お前は!!」

 

 

 

 

 

「きみを迎えに来た」

 私は背後を見た。そこに過去と現在と未来を見た。烏森大黒、その人だ。

 「いい?あなたは幻覚を見ている。私は我が主を信奉する高位聖職者だから特別にあなたに教えてあげるわ。あなたの目の前にいる、我が主を象った怪物と、光り輝くように見える私の『幻影』は……そう、偽物。なんで分かるかって?それはこの私が高位聖職者だからよ」

 烏森大黒はほんとうに意味の分からないことを言った。でも間違いなく大黒の言葉だった。だから俺は、ようやく真実に気づけた。このおれの眼の前に広がる光景は!

 「騙しやがったな!!筆島しぐれ!!」

 その瞬間に眼前の空間が裂けた。筆島しぐれの正体は、なんと冥邪神デスシグレだった!!

 「𝑆𝐸𝐸𝐿𝐸𝑁𝑊𝐴𝑁𝐷𝐸𝑅𝑈𝑁𝐺...」

 デスシグレはおそるべき呪言を発した。この呪言には新セントエルモ語で「お前を殺す」、ガルディエーヌ語で脳死は人の死」、チュトラリー=グリベル語で「宿星審判は15+」という意味になる。デスシグレがこの言の葉を発した瞬間、この世に住まう全ての千寿いろはが泣きべそをかき、荒野を爆走していった。

いい奴だったよ

 「𝑂𝑁𝑆𝑂𝐾𝑈𝐷𝐴𝑌𝑆...」

 デスシグレは続けざまに呪いの言葉を発した。周囲の木々は枯れ、アザラシは死に絶え、グルコス筐体が撤去されていった。しかしこのおれには、呪いのスペシャリストたる烏森大黒がついている。それだけで千の安心感があった。

 「𝐴𝑆𝑇𝑅𝑂𝑁𝑂𝑇𝐸𝑆...」

 空間がうねりを上げる。この世の命運が、俺の下半身にかかっているのを強く感じた。そして、デスシグレの全方位呪言が止まる。

 「気を付けて。恐ろしいものが来るわ」

 おれの眼前でデスシグレがパワーを溜めていた。そして、

पहली चूत करने के लिए लंड…………

 全体即死攻撃。この世の全てを終わらせんとする一撃が、私達のもとに放たれた。

 「この攻撃は……終わりよ!私たちも、このほしも!!」

 焦る大黒。しかし、その隣に立つ私は落ち着いていた。そして、シールドを展開する。

 「もう分かってんだよ。お前の正体」

 俺はデスシグレの虚を突いた。かくして世界の破壊は防がれ、歪んだ時空が少しだけ元に戻った。

 

 

 

 「ふざけるな……!!ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるな!!!!!!!!!!!このしぐれのことを気にも留めない、むしろ侮蔑の対象としか見ないお前……!!!!そしてこうやってお前を殺そうとした……にも拘らずそれも失敗……許さない……!!次が最後の一撃よ……ここでこのしぐれの本気を受け取りなさい……!!」

 

 

 

 クソガキが何か言ってる。こんなことを言うやつには心当たりがあったが、いよいよこれが最終決戦だ。頑張るぞ、これもブラックフライデーで烏森大黒を買うためだ!!

LAMIA is not ONGEKI, but just a torture.

 最終決戦は俺の得意なオンゲキ勝負だった。ヂニリヂのリンリンリーをガキの頃から見てきた俺にはインギキ勝負などイチェニキシイシイだった。しかしこのクソガキから提示された課題曲はあろうことかLAMIA[MASTER]。俺は全てのキンタマ2000シリーズ*1よりもこの曲ができなかったから、壮絶な戦いを覚悟した。

高速で手をグーパーする 地力不足につき固定運指はやろうとするとどうしてもガフ押しになる

 まずはここ。ここの高速グーパーが本当にしんどい。BPM199の8分の猶予で赤緑青が押せるように開いていた手を緑だけ押せるように畳み、また同じだけの猶予で広げるという動作が本当に苦しい。

苦しみからの逃げ道

 ならこうする。こうすれば高速のグーパーは要らない。次だ。

巻き込まない限り全部押す

 BPM225の8分までの間隔であれば直前で空打ちしても早HITなどの判定にはならない。所々に入り混じる16分を正確に押すのはそうだが、それ以上に余計な負担をどれだけ抑えられるか。だがまだだ。まだここではない。

リズムキープの難易度が異様に高い

 まずここで俺の地力は限界を迎える。どの速さでこれを叩き込めばいいのかが果たして分からない。デスシグレは感覚を狂わせる悪魔だ。しかしここで狂っていては耐えられないと俺は気づいていたし、大黒も負けじと何かを準備しているように見えた。

 

 中盤に譜面はほぼないので後半戦。ここからが勝負どころだ。

 

階段押せない、対称押せない、赤青同時は全押しに頼る

 そんな微妙なスピードの片手階段は押せない!

固定押しとBoF押しの往復間隔が早すぎる

 そんな急に固定やれBoFやれって繰り返し言われても分かんねーんだよこのハゲ!!

She ne Berker!!!!

 1つ目2つ目はまだいい3つ目こんな速い両手トリル拘束させながらやらせようとしてくんじゃねーよ死ねバーーーーーーーーーーーカ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 「へえ?この程度の配置で蠱滅(こめつ)喰らってるワケ?wまだまだしぐれの本気はこんなもんじゃないんだからぁ!!」

 

?????????????????????????????????????

ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

??????????????????????????????????????????????????????????????????????????????

ごぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

り?????????????????????????????り???????????????????????????り????????????????????????????????????????????????????????????????

のべびゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 ……時が、止まった!?

 

Kathrina Griebel - Sirius

 「ハァ、ふがいないアンタのためにこの私がわざわざ来てやったのよ。感謝しなさい」

 きらきら光る台の上で決めポーズをして現れたのはドイツが生んだ音ゲーの天才・カトリナ=グリーベルだ。時間停止という音ゲーマーの誰もが欲しがるセンスを持っているにも関わらずそのセンスを実際のプレーの上で使うことを封印し、その代わり徹底的な座学によりありとあらゆる高難度譜面をねじ伏せ、各機種のトータルハイスコアランキングを荒らして回る実力者。そして、彼女はそのセンスをこの私のためにわざわざ使ったのだ!

 「いい?このセンスの効き目もそう長くないの。ほら、今のうちに立て直して。そして、あなたの横にいる子をよく見なさい」

 私は言われるがままに横を見た。そう、そこには冥邪神デスシグレ殲滅の刻を今か今かと心待ちにし、私を見つめる大黒の姿があった。おうそなたはなんていとおしいのだなどという冗談を吐く暇はない。

 「さあ、私と共に歌うのよ」

 俺は全ての意味を理解し、了承した。カトリナがセンスの効能を緩める。そして、目の前に対峙する筆島しぐれに、私達は最後の一撃を与える!!

真面目なことを言うと、ここは早め意識です

 テッ♪テテッ♪テテッ♪テテッ♪テテッ♪テ・テ♪

外側2つを10回→片全押し8回→両手で全押し!!!!

 筆島しぐれはクソガキ早く死ね~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!*2

 

 

 「ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 こうして、筆島しぐれによる世界を揺るがす陰謀は無事蠱滅(こめつ)を受け、平和な世界が戻ったのだった。しかし、烏森大黒によるワールドダイスターへの道と、俺の究極のキンタマスターになる夢は終わらない。そして、おれは大黒との別れ際に、こう叫んでその場を後にした。

 

 「すいません。ブラックフライデーで烏森大黒売ってませんか!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

補足情報

 この文章は𝓞𝓾𝓬𝓱𝓲 𝓞𝓽𝓸𝓰𝓪𝓶𝓮 𝓐𝓭𝓿𝓮𝓷𝓽 𝓒𝓪𝓵𝓮𝓷𝓭𝓪𝓻 2023 12/15(Fri.)の記事です。明日はAru=Rさん、スギさんによる記事をお届けします。他の方々の記事はこちら

 

 あと、烏森大黒(CV:Lynn)による「あの夏が飽和する。」のカバー マジで神なので聴いて

www.youtube.com

*1:キンタマ2000、腫れたキンタマ2000、デカキンタマ2000、分裂キンタマ2000、積み立てキンタマ2000、Nesin amatnikの6曲からなるケツドラムマスターズのボス曲群

*2:これが正しいLAMIAの歌詞である